バーの数だけ出会いがありドラマがある。 ママさんのお店に対するこだわりや ちょっとしたプライベートを覗き見できる “一期一会”ならぬ、“一期イチGAY”
LOGOS 一期イチGAY アイキャッチ
新宿二丁目エリアのゲイバー

もっと、お客さんと喋りたい言葉で人を繋ぐLOGOSの夜

新宿二丁目にあるゲイバー「LOGOS」。ギリシャ語で「言葉」を意味する店名の通り、カウンターではKimihikoママとお客さんだけでなく、隣り合った人同士にも会話が広がります。今回は、2007年の開店までの歩み、カラオケを外した理由、店の外へ続く交流、六尺・アンダーウェアイベント、そしてテキーラにまつわる笑い話まで伺いました。

しっぽり/にぎやか 40代〜60代 一人でも来やすい 隣同士でも話しやすい 大人数のイベントも豊富
LOGOS Kimihikoママ
インタビュー協力 / LOGOS

【ママ】 Kimihikoさん

アメリカでゲイバーへ通った経験と、新宿二丁目でのスタッフ経験を経て、2007年にLOGOSをオープン。店内では一人で来た人にも目を配り、花見や旅行、サークル活動など、店の外でも人が出会える機会を作ってきたママです。

新宿二丁目の「LOGOS」へ

新宿三丁目駅から新宿二丁目へ。今回向かったのは、アメリカ西部をイメージした内装が広がるゲイバー「LOGOS」です。

外観から入口、扉の前へ進むにつれ、初めて訪れる店ならではの緊張が少しずつ高まります。まずは、店内へ入るまでの景色を写真で辿ります。

店内の雰囲気

扉の先にあるのは、しっぽり飲める日も、会話がにぎやかに広がる日もあるカウンター。話すことが好きなお客さんが多く、一人で訪れる方も少なくありません。

Kimihikoママが近くの席へ話を振ると、初対面だった人同士の間にも少しずつ会話が生まれます。誰か一人だけが取り残されないように目を配ることが、LOGOSの空気を支えています。

来店される客層:40代〜60代が中心で、特に50代のお客さんが多め。

店内の雰囲気:平日も週末も、しっぽりとにぎやかの両方。お酒と会話をゆっくり楽しめます。

一人での来店:一人で訪れる方が多く、ママが会話のきっかけを作ってくれます。

「言葉」から始まった、LOGOSという店名

ふらっと
LOGOSという店名には、どんな意味が込められているんですか?
Kimihikoさん
LOGOSってギリシャ語なんですよ。いろんな意味があるみたいなんだけど、「言葉」っていう意味があって。ゲイバーって、人と人とのつながりを持てる場所じゃないですか。話したりとか。それでLOGOSって言葉がいいのかなって。
ふらっと
その「言葉」を大切にしたい気持ちは、今のお店の形にも表れていますよね。
Kimihikoさん
うちは昔、オープンから6〜7年くらいカラオケがあったんです。楽しかったし、コミュニケーションも取れるんだけど、もっとお客さんと喋りたいっていう気持ちがずっとあって。一回取ってみようかって、撤去しちゃったんです。
ふらっと
盛り上がるための道具を減らして、その分、目の前の人と話す時間を増やしたんですね。
Kimihikoさん
僕と話すだけじゃなくて、横同士でも気軽に話せるようなお店にしたかったんです。
カラオケを外した先に残したかったのは、お客さん同士の言葉でした。
LOGOS コースター

勢いで盛り上がる夜から、居やすさを考える夜へ

Kimihikoママがスタッフとして働いていた頃は、曲が終わるたびに一気をしたり、歌えない人にもマイクを渡したり、店内の音量をお客さんが勝手に上げたりすることもあったそうです。

当時ならではの勢いや楽しさがある一方で、現在のLOGOSが選んだのは、誰かに無理をさせて盛り上げる形ではありません。お客さんの年齢層や飲み方が変わる中で、にぎやかさの作り方も変えてきました。

かつて経験した夜

曲終わりの一気、突然渡されるマイク、勢いで押し切る盛り上がり。

現在のLOGOS

飲む量も会話への入り方も自分のペース。ママが間に入り、隣同士を自然につなぎます。

昔の文化を一括りに否定するのではなく、自分が作りたい店には何を残すのかを選ぶ。その積み重ねが、LOGOSの現在地です。

2007年、予定より早く始まったチャレンジ

Kimihikoママは会社員として働きながら、週末に新宿二丁目の店へ入っていました。一度は夜の仕事を離れて会社員へ戻り、この先の生き方を考えるようになった頃、以前から胸の内にあった夢が少しずつ現実へ動き始めます。

ふらっと
もともと、自分のお店を持つことは考えていたんですか?
Kimihikoさん
本当は、60歳を過ぎたり年を取ったら、小さいところで友達が集まれるようなお店を作りたいなっていう希望があったんです。
ふらっと
ずっと先に思い描いていた店が、早い段階で現実になったんですね。
Kimihikoさん
その話をしていたら、「ここ空いてるよ」って、いろんな人に言われて。僕が44〜45歳くらいの時ですね。ちょっとやってみて、辞めればいいやぐらいの感覚で始めました。結構、本当に軽い(笑)。
ふらっと
最初から、この規模のお店を思い描いていたわけではなかったんですか?
Kimihikoさん
本当は、もっと小さいところでこぢんまりやりたかったんです。二丁目じゃなくても、路地にある小さな店みたいな感じでもよかった。なので、本当にチャレンジでしたね(笑)。

軽い気持ちで踏み出したと笑いますが、場所を引き受け、店を形にし、続けてきた年月は軽くありません。2007年に開いた扉は、Kimihikoママが想像していたよりも長い物語の入口になりました。

自分から通いたいと思えた場所は、ニューヨークにあった

Kimihikoママが初めて新宿二丁目のゲイバーを訪れたのは20歳の頃。年上の知人に連れられ、小さなカウンターの店で初めてカラオケを歌い、ウイスキーを飲んだ記憶が残っています。

その頃は、ゲイバーへ通い続けるまでには至らなかったそうです。自分の意思で繰り返し足を運ぶようになったのは、渡米してからでした。

ふらっと
初めて「自分から通いたい」と思えたゲイバーは、どんな場所だったんですか?
Kimihikoさん
渡米した先に、アジア人とアジア人が好きな人たちが集まる店があって。そこには毎週末、平日も行ってましたね。
ふらっと
帰国後は、どんなお店へ通うようになったんですか?
Kimihikoさん
最初は外国人が集まるバーを何軒か回って、その後は韓国系のバーにハマりました。まだ周りでK-POPが話題になっていない頃から聴いていて、なんで好きなのって不思議がられてましたね。そのあと日本人の店へ連れて行ってもらって、スタッフをするようになったんです。

客として通った時間が、店に立つ原点へ

二丁目での最初の体験、ニューヨークで見つけた通いたくなる場所、帰国後に巡ったさまざまな店。客として重ねた時間を経て、Kimihikoママは店を作る側へ進みました。

ポツンとしている人を、そのままにしない

LOGOSでKimihikoママが大切にしているのは、店内にいる全員と話すことです。会話へ入れていない人がいると、「楽しんでいるかな」「大丈夫かな」と気になってしまいます。

ふらっと
お店に立つ時、特に気にしていることは何ですか?
Kimihikoさん
全員と喋ることですね。お客さんがポツンとしてると、この人楽しんでるかな、大丈夫かなって気になるんです。
ふらっと
静かに飲みたい方かもしれない、とは考えませんか?
Kimihikoさん
そっとしておいた方がいいのかなと思うんですけど、話しかけちゃう(笑)。近くに座ってもらって、横の人も巻き込みながら話すことが多いですね。
ふらっと
一対一で会話を抱え込むのではなく、カウンター全体へ広げていくんですね。
Kimihikoさん
そうですね。近くの人同士でグループができたり、そこから仲良くなったりすることもあります。

誰と話すかを決めてから行く場所ではなく、座った先で新しい会話が始まる場所。LOGOSのカウンターには、その偶然を生みやすくする手助けがあります。

カウンターで出会い、店の外でも一緒に遊ぶ

LOGOSで生まれた関係は、花見やバーベキュー、ビアガーデン、卓球やダンスのサークル活動、旅行へと広がってきました。かつては40〜50人ほどが集まる花見を開いたこともあり、複数の店が合同で大人数の旅行へ出かけたこともあるそうです。

ふらっと
最近は、どんな活動をみなさんで楽しんでいるんですか?
Kimihikoさん
卓球やダンスのサークル活動もそうだし、ビアガーデンやバーベキュー、旅行にも行きます。今年は沖縄にも行きました。現地集合、現地解散なんだけど(笑)。
ふらっと
参加の仕方まで自由なんですね。
Kimihikoさん
そういう場をいっぱい設けたいんです。飲みに来てもらって、興味があったら参加してもらえればいいかなって。

毎回すべてに参加しなくてもいい。まず店で顔を合わせ、気になる企画があれば加わる。その緩やかさが、関係を長く続ける余白になっています。

締めたことがなくても、「面白そう」で始めた

毎月最終日曜日に開催される「六尺・アンダーウェアParty」。LOGOSがイベントを始めた頃、新宿二丁目のゲイバーで、お客さんも一緒に参加する六尺イベントはまだ珍しかったそうです。

LOGOS 六尺・アンダーウェアParty
ふらっと
六尺イベントを始めたきっかけは何だったんですか?
Kimihikoさん
お客さんに別の店へ連れて行ってもらった時に、「六尺イベントやりなさいよ」って言われたのがきっかけです。僕、それまで締めたこともなかったんですけどね。
ふらっと
経験がなかったのに、やってみようと思えたのはなぜですか?
Kimihikoさん
ほかがやってないから、面白いかなと思って。何回かやって、ちょっととんでもないことになったから、一回やめたんです(笑)。
ふらっと
一度やめた後、どうして再び始めたんですか?
Kimihikoさん
その後、六尺のイベントがいろんなところへ広がって。今さら六尺もなあと思ったんだけど、やっぱり要望があったので、日曜日に自由な格好で気軽に飲める場を、もう一度作ろうかなって。六尺だけじゃなく、アンダーウェアでも大丈夫にしています。

先駆けであることを誇示するより、来たい人の声に合わせて形を変える。現在のイベントには、Kimihikoママの軽やかな試行錯誤が残っています。

試験管テキーラは、営業前の「気合の一杯」から

LOGOSでは、試験管型のグラスに入ったテキーラも印象的です。別のバーでその見せ方を見て惹かれ、店でも使うようになりました。試験管は見た目ほど量が多くなく、写真にも残したくなる遊び心があります。

ふらっと
振る舞いテキーラは、どうやって始まったんですか?
Kimihikoさん
テキーラが好きだから(笑)。金曜日に飲んで二日酔いのまま土曜日の営業へ入ることが多くて、営業前に自分で気合を入れるため、下の方でスタッフとこっそり飲み始めたのが最初です。「ねえ、一杯飲まない?」って(笑)。
ふらっと
スタッフ同士の一杯が、お客さんを巻き込む形に変わっていったんですね。
Kimihikoさん
その頃はカラオケがあったから、曲が終わったらみんなで一杯ってやるようになって。こんなに流行ると思わなかった(笑)。一番最初に始めたのは、うちかもしれないですね。
ふらっと
今も、同じようにみんなで飲むんですか?
Kimihikoさん
前よりお客さんの年齢層も上がったから、みんな無理したくないなっていうのはあります。サービスで出しても、飲みたくないのに飲ませた形になったら違うので。楽しめる範囲がいいですよね。

勢いから生まれた名物も、続ける中で距離の取り方を見直す。LOGOSでは、昔のノリを懐かしみながらも、飲まない選択を置き去りにしません。

ママが消えた?!オープニングパーティー

店を始めた時に大変だったことを尋ねると、経営の苦労より先に出てきたのは、酔いすぎて帰り方が分からなくなった夜の話でした。

ふらっと
今だから笑える、開店当初の失敗はありますか?
Kimihikoさん
オープニングパーティーの2日目、ベロベロになって、朝方に店を脱走して階段で寝てました。先輩ママたちがいらっしゃってるのに(笑)。
ふらっと
お祝いの場から、主役がいなくなってしまったんですね(笑)。
Kimihikoさん
別の日には、お客さんを見送りに外へ出ている間に、いただきグラスへ並々とジンを注がれていて。知らずに一気して、非常階段で吐いて寝ちゃいました。
ふらっと
目を覚ました時、お店はどうなっていたんですか?
Kimihikoさん
起きたら、店はスタッフが閉めてました(笑)。

開店直後から、ママ不在でも閉店まで辿り着いたLOGOS。笑い話の裏には、早くも店を支える人たちの存在がありました。

休日は、気になるものを自分の目で確かめに

LOGOS Kimihikoママ
ふらっと
お休みの日は、どんなふうに過ごしているんですか?
Kimihikoさん
ジムに行ったり、映画を見たり、街をぶらぶらしたり。食べることが好きなので、気になる店やカフェにも行きます。企画展や美術館は、平日休みの友達と行くこともありますね。
ふらっと
最近、新しく遊んでいるものもありますか?
Kimihikoさん
動画を撮ったり編集したり、AIで遊んだりしてます。お遊び程度ですけどね。エスニック系の食材店を回ったり、これからはかき氷活動もいいかなって。

映画、美術、食、動画、AI。店の外でも気になったものへ足を運び、自分で触れてみる姿勢は、「ほかがやっていないなら面白そう」とイベントを始めた感覚にも重なります。

まずは最初の一杯から、気の合う人と出会いたい方へ

最後に、これからLOGOSを訪れる方へメッセージを伺いました。

ふらっと
サイトを見てLOGOSを知った方へ、伝えたいことはありますか?
Kimihikoさん
うちは卓球やダンスのサークル活動もそうだし、ビアガーデンやバーベキュー、旅行もやっています。まずは気軽に飲みに来てもらって、興味のあるものがあれば参加してもらえたらうれしいです。体型や年齢に関係なく、ここで気の合う人とつながって、それぞれの楽しみ方を見つけてもらえたらと思います。

一杯飲むことを入口に、会話へ加わり、次に会う約束が生まれる。Kimihikoママが増やしたいのは、誰かと知り合える選択肢そのものです。

ふらっと視点で見たLOGOS

本日のゲイバーはこんなところでした

LOGOSで印象に残ったのは、店名の由来が説明だけで終わらず、実際の店づくりへつながっていることでした。

もっとお客さんと話すためにカラオケを外し、会話へ入れていない人がいれば声をかけ、近くの席同士をつなぐ。その関係は、花見やサークル活動、旅行へも広がってきました。

六尺・アンダーウェアイベントも、振る舞いテキーラも、最初から完成された企画ではありません。面白そうだから試し、行き過ぎれば一度止め、求める声があれば今の形へ作り直す。長く続けながら、変えるべきところを変えてきた店でもあります。

Kimihikoママ自身も、昔の二丁目で経験した勢いを懐かしみながら、現在は無理に飲ませず、誰か一人を置いていかない時間を選んでいます。

一人で扉を開けても、帰る頃には誰かの顔と名前を覚えている。LOGOSは、そんな夜が始まりやすい一軒です。

LOGOSの基本情報はこちら

料金・営業時間・アクセスなど、来店前に確認したい詳しい情報は基本情報ページにまとめています。

他の一期イチGAYの記事はコチラ

この記事をシェア