年齢を重ねても、性的マイノリティの人たちにはさまざまな不安があります。ひとり暮らしで病気になったら誰を頼ればよいのか。同性パートナーが入院したとき、面会や病状説明を受けられるのか。認知症になったとき、自分の希望を誰に託せるのか。

こうした不安は、LGBTQ+当事者だけに限られるものではありません。しかし、家族にセクシュアリティを伝えていない、親族と疎遠になっている、パートナーとの関係を周囲に説明しにくいといった事情によって、必要な支援を求めにくくなることがあります。

性的マイノリティの方を対象にしたサービスは近年増えてきており、東京レインボープライドでもいくつかのブースがサポートに関するパンフレットの配布を行っていたり、認知活動を行っていました。

愛知県が2026年2月に発行したガイドブック「LGBTQと高齢期」では、性的マイノリティと高齢期が重なることで生じる困難や、もしものときに備えるための情報が取り上げられています。

▶ガイドブック「LGBTQと高齢期 誰もが安心して過ごせる老後を目指して」

この記事では、高齢期に感じやすい不安を整理し、今から確認しておきたいことと、詳しく知りたいときに役立つ関連記事を紹介します。

テーマごとのまとめた後に、関連記事としてさらに深堀りした内容や記事を紹介しています。
気になった方はぜひクリックして読んでみてください。

目次

  1. 高齢期の性的マイノリティが感じる生きづらさ
  2. ひとり暮らし・孤立への不安
  3. 医療や介護の場でパートナーとの関係を理解してもらえるか
  4. 認知症や判断能力の低下に備える
  5. 老後のお金と生活費をどう準備するか
  6. 亡くなった後の財産や手続きをどうするか
  7. まず確認したいことと、相談先

高齢期の性的マイノリティが感じる生きづらさ

高齢期には、健康や生活費、住まい、介護、相続など、さまざまな課題が生じる可能性があります。
性的マイノリティの人も同じように年齢を重ねますが、周囲の理解や制度の運用によっては、必要な支援につながりにくい場合があります。

家族や親族に頼れず、病気や介護が必要になったときの支援先が分からない。
また、同性パートナーがいても、医療機関や介護施設でどこまで関われるのか分からない。

性的指向や性自認を知られたくないため、福祉サービスの利用や相談をためらう。
自分が亡くなった後、パートナーや大切な人に財産や希望を引き継げるか分からない。

これらは、すべてのLGBTQ+当事者に当てはまるわけではありません。また、ひとり暮らしだから必ず孤立する、同性パートナーがいるから家族の支援を受けられない、と決まっているわけでもありません。
大切なのは、自分がどのような暮らしを望み、どんなときに支援が必要になりそうかを考えておくことです。

ひとり暮らし・孤立への不安

ひとり暮らしをしていると、病気やけがで動けなくなったとき、緊急時に誰へ連絡するか、日常生活で困ったときに誰を頼るかが気になることがあります。
親族と疎遠になっている人や、家族に自分のセクシュアリティを伝えていない人は、困りごとを誰に相談すればよいか迷うこともあるでしょう。
同性パートナーや友人がいる場合も、相手がいつでも支援できるとは限りません。お互いの年齢や健康状態が変わることを考え、ひとりの人だけに頼らず、複数の相談先や支援の方法を知っておくと安心につながります。

           確認しておきたいこと

  • 緊急時に連絡できる人がいるか。
  • 住んでいる地域で利用できる高齢者向けの相談窓口はどこか。

  • 介護や生活支援が必要になったとき、どのようなサービスがあるか。

  • 自分のプライバシーについて、相談先にどこまで伝える必要があるか。

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医療や介護の場でパートナーとの関係を理解してもらえるか

同性パートナーと長年暮らしていても、入院や介護が必要になったとき、相手がどこまで関われるのか不安を感じる人もいます。
気になるのは、面会や病状説明、緊急時の連絡、介護方針に関する相談などです。本人の意思を尊重してほしいと思っていても、医療機関や介護施設の対応が分からず、事前に相談することをためらう場合もあるでしょう。
ただし、面会できるか、病状説明を受けられるか、医療行為への同意を誰が行うかは、それぞれ別の問題です。パートナーであることだけで、すべての手続きについて自動的に権限が認められるわけではありません。

本人の意思や施設の運用、個別の事情を確認する必要があります。

           確認しておきたいこと

  • 緊急連絡先にパートナーや友人を登録できるか。

  • 本人が希望する相手に病状を説明してもらうには、どのような手続きが必要か。

  • 入院や介護の際、本人の希望や生活上の配慮をどのように伝えられるか。

  • 名前や性別、病歴などの個人情報がどのように管理されるか。

自分が希望する支援を受けやすくするためには、元気なうちに医療機関や介護施設へ確認し、必要に応じて希望を書面にまとめておく方法があります。

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認知症や判断能力の低下に備える

認知症などによって判断能力が低下すると、預貯金の管理や契約、介護サービスの利用などについて、自分だけで手続きを進めることが難しくなる場合があります。

そのとき、同性パートナーや信頼できる友人に支援を頼みたいと思っていても、何も準備していなければ、希望どおりに手続きを任せられるとは限りません。

将来に備える方法の一つに、任意後見制度があります。これは、判断能力が十分にあるうちに、将来支援を依頼したい人や委任する事務の内容を契約で決めておく制度です。任意後見契約は公正証書で作成し、本人の判断能力が低下した後、家庭裁判所が任意後見監督人を選任することで効力が生じます。
▶成年後見制度とは?

ただし、任意後見制度ですべての希望を実現できるわけではありません。財産管理や契約など、どのような支援を任せたいかを整理し、必要に応じて専門家に相談することが大切です。

           確認しておきたいこと

  • 判断能力が低下したとき、誰に支援を頼みたいか。
  • 財産管理や介護サービスの契約について、どのような支援が必要か。
  • 任意後見制度などの仕組みが自分に合っているか。
  • 相談先や契約内容について、信頼できる人と共有できているか。

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老後のお金と生活費をどう準備するか

老後の生活を考えるうえで、お金の不安も大きなテーマです。
年金や貯蓄で生活費をまかなえるか、家賃や住宅ローンを払い続けられるか、病気や介護で支出が増えたときに対応できるか。心配になることは人によって異なります。
また、働き方や収入、これまでの貯蓄状況によって、老後に準備できる金額も変わります。同性パートナーと暮らしている場合も、相手の収入や年金を当然に頼れるとは限らないため、自分の生活費や将来の支出を把握しておくことが大切です。

           確認しておきたいこと

  • 年金の見込み額と、毎月必要な生活費。

  • 家賃や住宅ローン、医療費などの固定的な支出。

  • 病気やけがで働けなくなった場合に利用できる公的保障。

  • 介護が必要になった場合に備えておきたい費用。

  • パートナーと生活費や貯蓄をどのように分担するか。

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亡くなった後の財産や手続きをどうするか

自分が亡くなった後、財産や住まい、葬儀などをどうしたいかも、老後に考えておきたいことの一つです。
法律上の配偶者ではない同性パートナーは、原則として、その関係だけでは法定相続人になりません。パートナーに財産を残したい場合には、遺言書などの方法を検討する必要があります。

また、財産を引き継ぐことと、葬儀や納骨、死後の手続きを任せることは別の問題です。自分の希望を誰に託したいのか、どのような手続きが必要になるのかを整理しておくことが重要です。

           確認しておきたいこと

  • 財産や住まいの名義がどうなっているか。
  • パートナーや大切な人に財産を残したい場合、どのような準備が必要か。
  • 葬儀や納骨について、自分の希望を誰に伝えておくか。
  • 死後の手続きを任せたい場合、どのような契約や準備が必要か。

具体的な方法は、財産の内容や家族関係、希望する手続きによって異なります。遺言や相続については弁護士や司法書士など、内容に応じた専門家への相談も検討しましょう。

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まず確認したいことと、相談先

老後の不安をすべて一度に解決する必要はありません。まずは、自分が気になっていることを整理し、必要な情報を一つずつ確認していきましょう。

  • 地域包括支援センター: 高齢期の生活、介護、地域の支援についての相談。

  • 自治体の高齢者福祉・介護保険担当窓口: 介護サービスや地域の支援制度についての相談。

  • 弁護士: 相続や契約、法律上の権利に関する相談。

  • 司法書士: 不動産の登記や、成年後見制度などに関する相談。

  • 年金事務所・自治体の窓口: 年金や公的保障についての確認。

  • LGBTQ+の相談窓口や支援団体: セクシュアリティに関する不安や、理解のある相談先を探したいときの選択肢。

当サイトでは現在、相談窓口となる団体さまや企業さまを募集しております。

           確認しておきたいこと

  • 緊急時に連絡してほしい人、頼りたい人を考える。

  • 医療や介護で、自分が希望する対応を整理する。

  • 年金や生活費、住まいなど、老後のお金の見通しを立てる。

  • 判断能力が低下したときや亡くなった後に備え、必要な手続きを調べる。

  • 分からないことは、内容に合った相談窓口や専門家に確認する。

相談の際に、自分のセクシュアリティをどこまで話すかは、状況や相談内容によって異なります。安心して話せるか不安な場合は、事前に相談窓口の個人情報の取り扱いや相談方法を確認しておくとよいでしょう。

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参考文献 (情報確認:2026年10月13日)

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