中高年の男性2人が介護の相談員と話し合うイラスト

LGBTQの人が介護サービスや施設を選ぶとき、何を確認すればいい?

最初に確かめたいのは、呼び名や入浴の対応、話した内容の共有先、パートナーや友人の面会・連絡です。「配慮します」という説明だけでなく、誰が、どんな方法で対応するのかまで聞いておくと、利用後の生活を考えやすくなります。 セクシュアリティや関係を一度にすべて話す必要はありません。詳しい事情を話す前に、対応方針や相談先を尋ねるところから始められます。

情報確認:

呼び名・入浴・普段の生活

介護を受ける場所によって、人と接する場面や、体を見られる場面は変わります。まずは、自分が利用するサービスで気になる点を見てみてください。
自宅での介護訪問する職員、同居する人の呼び方、訪問時の声かけ。入浴や着替えを介助してもらう場所で、プライバシーを保てるか。
通いのサービス受付や送迎での呼び名、他の利用者との会話。浴室・更衣室・トイレの使い方や、個別に利用できる時間があるか。
短期の宿泊個室か相部屋か、夜間の介助、面会や連絡の方法。日中に伝えた希望が、夜勤の職員にも引き継がれるか。
施設での生活居室と共用空間、普段の服装や持ち物、面会。職員が替わっても配慮が続き、希望を見直せるか。

呼び名と、体を見られる場面

書類上の氏名と普段使う名前が違う場合は、受付、送迎、居室の表示などで、どちらを使うか尋ねます。書類に必要な氏名と、ほかの利用者の前で使う呼び名を分けられるかも聞いておくとよいでしょう。 トイレや浴室の使い方、介助する人について、何が安心できるかは人によって違います。「着替える姿を見られたくない」「入浴の介助をする人に希望がある」など、自分が気になる場面を伝えてください。 仕切り、別の場所、利用時間の調整など、取れる方法を話し合います。別のトイレや浴室を提案されたときも、使いやすさや不便がないかを確かめます。性別や外見だけで対応を決めず、本人の希望を聞いてもらえるかが大切です。 部屋や設備、職員の体制には違いがあります。希望する方法が難しいときは、代わりの方法と、追加の費用や条件を聞きます。施設によって入所の目的や利用期間も異なるため、長く暮らしたい場合は、その希望も利用相談で伝えてください。

誰に、どこまで伝えるか

詳しい事情を話す前に、必要な配慮と、話を共有してよい相手を相談できます。セクシュアリティの説明から始めず、呼び名や介助の希望だけを伝える方法もあります。
「詳しい事情を話す前に、対応方針と相談できる担当者を知りたいです。呼び名や、入浴のときの配慮について相談できますか。」 問い合わせの例
見学や利用調整の段階で、介護の利用計画や事業所との調整を担うケアマネジャー、施設の相談員、訪問介護のサービス提供責任者などへ話します。担当の名称は事業所によって違うので、個別の対応を調整できる人を尋ねてください。

記録する内容と、見る人を確認する

担当者に話した内容が、どの記録に残り、介助する職員や夜勤、別の事業所へどう伝わるかを聞きます。「個別の入浴を希望する」などの対応と、詳しい背景を分けて記録できるかも相談してみてください。 家族や他の利用者に関係を伝えていない場合は、誰には伝えてほしくないかも知らせます。電話での呼び方や書類の送付先など、関係が伝わりやすい場面も含めて、希望を残す場所と引継ぎ方法を確かめます。 本人の了解なく、性的指向(恋愛や性的な関心がどの性別に向くか)や性自認(自分の性別をどう捉えるか)を他の人へ伝えることは「アウティング」と呼ばれます。防ぐための配慮を本人だけに任せず、事業所が記録や会話をどう扱うかも聞いておきましょう。

個人データを第三者へ提供するときは、原則として本人の同意が必要です。同じ事業者の職員間での業務上の共有とは扱いが異なります。生命・身体を守るため同意を得ることが難しい場合などには例外もあるため、誰に、何のために、どこまで共有するかを確かめてください。

利用時には、本人確認や、安全な介助に必要な心身の情報の確認もあります。何のために必要なのか分からない質問は、理由と共有先を尋ねられます。利用開始後も、担当が替わったり希望が変わったりしたら、記録と引継ぎの見直しを担当者へ伝えてください。

パートナーの面会・連絡・同席

パートナーや友人に頼みたいことは、面会、付き添い、連絡、情報を受け取ること、介護の話し合いへの参加に分けて相談します。ひとつ認められたら、ほかも同じ条件とは限りません。
面会・付き添い会いに来られる人、面会時間や予約、利用説明や外出などへの付き添い。本人が望まない来訪の扱いも確認します。
連絡先どんなときに、誰へ、どの順番で連絡するか。登録できる相手と、確認に必要な書類を尋ねます。
情報・話し合い誰に、どこまで情報を伝えてよいか。介護の利用計画であるケアプランなどの話し合いに同席できるか、必要な同意や手続は何か。
「この人は普段の生活を支えてくれています。連絡先に登録し、介護の話し合いにも一緒に参加してほしいです。必要な手続を教えてください。」 希望を伝える例
「家族に限ります」と説明されたら、面会、連絡先、話し合いへの同席のうち、どの場面の条件なのかを尋ねます。それぞれを分けて聞くと、できることと難しいことが分かります。 国の医療・介護のガイダンスには、本人の申出に応じ、実際に生活を支えている人を説明の相手に加える取扱いが示されています。パートナーや友人についても、誰に何を伝えてよいか、必要な同意とあわせて事業所へ相談してください。 パートナーシップ制度の証明書がなくても、希望する役割について相談を始められます。必要な資料や面会・同席の条件は事業所へ聞いてください。感染対策などで面会条件が変わる場合もあります。二人で入居したい場合は、それぞれの入居条件、同じ部屋を使えるか、追加費用を尋ねます。

連絡先や同席者になることと、本人に代わって契約すること、身元保証等の責任を負うことは、それぞれ別です。パートナーという関係や制度の証明書だけで、本人に代わる権限が一括して生じるわけではありません。署名を求められたときは、何の役割で、どんな責任を負うのかを確かめてください。

頼める人がいない場合は、「親族に頼める人がいません。連絡先と保証人はそれぞれ何のために必要で、ほかにどんな方法が考えられますか」と相談員へ聞いてみてください。

見学・契約前に使える質問

「LGBTQフレンドリー」という表示に加え、どの職員が、どんな方法で対応し、担当が替わったときにどう引き継ぐかを聞きます。研修については、性的指向・性自認やプライバシーを学ぶ内容、受講した職員の範囲、新任職員への対応が手掛かりになります。 たとえば入浴について「対応できます」と言われたら、使う場所や時間、相談する担当者、夜間や担当交代時の引継ぎまで聞きます。説明が具体的なら、自分の希望に合うかを考えられます。まだ決まっていないことは、利用前のどの時点で回答してもらえるかを確かめます。 候補を探すときは、必要な介護、場所、費用などの条件も合わせて考えてください。厚生労働省の介護サービス情報公表システムでは、職員体制や相談・苦情窓口、運営の取組などを見られます。公表情報と見学時の説明を合わせ、気になる点を同じ質問で比べてみましょう。
見学・問い合わせに使える質問例
気になるものから選んで使えます。
  1. 詳しい事情を話す前に、対応方針と、相談できる担当者を教えてください。
  2. 呼んでほしい名前と、書類に記載する名前を分けて扱えますか。
  3. 入浴や着替えで、ほかの人に体を見られない方法を相談できますか。
  4. 介助する人や時間帯について希望があります。難しい場合は、別の方法も一緒に考えられますか。
  5. 親族ではないこの人を、面会・連絡・介護の話し合いの相手にしたいです。それぞれ何を確認すればよいですか。
  6. この話は誰が見ますか。家族やほかの利用者には伝えないでほしいという希望は、どこに記録できますか。
  7. 担当者が替わる日や夜間も、決めた配慮はどう引き継がれますか。
  8. 性的指向・性自認とプライバシーについて、どの職員が、どのような研修を受けていますか。
  9. 困ったときは、担当者以外の誰に相談できますか。回答や改善はどのように記録されますか。
  10. 希望する方法に追加の費用や利用条件はありますか。利用開始前に確認できる書類はありますか。

利用を決める前の確認リスト

回答があいまいな項目は、何が可能で、何が難しいのかをもう一度聞きます。重要事項説明書など、サービスの内容や条件を記した書類も読んで、説明と合っているか確かめます。

困ったときの相談先

希望と違う呼び方をされた、家族へ伝えないでほしい話が共有されたなど、利用後に困ったことがあれば、出来事と、変えてほしい対応を相談窓口へ伝えます。日時、言われたこと、これまでの相談と回答を、無理のない範囲で残しておくと説明しやすくなります。
日々の対応を直したい事業所の相談員・管理者等へ。困った相手を通さずに話せる窓口があるかを尋ねます。
利用先や計画を見直したいケアマネジャー、地域包括支援センター、市町村の介護担当窓口へ。地域包括支援センターは、高齢者の総合相談や権利擁護等を担う窓口です。
介護保険サービスの苦情を伝えたい市町村や国民健康保険団体連合会(国保連)へ。対象となる内容と、相談・正式な申立ての手続を確認します。
権利や契約の判断が必要人権相談窓口や、内容に対応する弁護士等へ。介護の苦情窓口だけでは、損害賠償や契約の法的な判断を扱えない場合があります。
外部へ相談する際も、氏名が必要か、事業所や家族へ何を伝えるかを先に聞けます。匿名の相談と、正式な苦情申立てでは条件が違う場合があります。利用先を変えたいときは、必要な支援、空き状況、費用等を含めて調整します。

利用前にしておきたい3つ

  1. 入浴・呼び名・情報共有など、特に気になることを選ぶ。
  2. 希望する対応と、大切な人に頼みたい役割を担当者へ伝える。
  3. 誰が対応し、どう引き継ぐかを、利用開始前に確かめる。

”1人”だけど”独り”じゃない。誰もが助け合える世の中にするため
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