同性パートナーが入院したら?面会・病状説明・医療同意の違い
同性パートナーが入院すると、「面会できる?」「医師の説明を一緒に聞ける?」「手術などの同意はどうなる?」と、いくつもの疑問が一度に出てきます。
ここで先に分けておきたいのは、面会、病状説明、治療方針の話し合い、医療行為への同意は、それぞれ別のことだという点です。本人が希望を伝えられるかどうかでも、確認することが変わります。
情報確認:
この記事のポイント
- 面会:パートナーが面会できるかは、病院・病棟のルールに加え、患者本人の状態や感染対策によって異なります。
- 病状説明:本人が希望を伝えられるなら、「誰に説明してよいか」という本人の意思が大切です。
- 医療同意:本人の意思決定が基本です。本人が意思を伝えられない場合も、親族やパートナーへ全国一律の代理権が移るわけではありません。
面会・病状説明・医療同意の違い
入院すると、「会えるか」「説明を聞けるか」「治療の話し合いに加われるか」「本人の代わりに同意できるか」が一緒に語られがちです。ですが、この4つは別々に確認する必要があります。
- 面会
- 患者に会うこと。誰が会えるかは、病院・病棟のルール、患者の状態、感染対策などで変わります。
- 病状説明
- 診断、検査、治療内容などを聞くこと。病状は個人情報なので、本人が意思を伝えられるなら、誰へ説明してよいかという本人の希望が重要です。
- 治療方針の話し合い
- 治療の選択肢や、本人が大切にしていることを一緒に考えること。本人が望めば、パートナーや友人など信頼する人が同席することがあります。
- 医療行為への同意
- 手術や処置などについて説明を受け、受けるかどうかを決めること。本人による意思決定が基本です。
面会できたから病状も聞ける、病状説明を受けたから治療も決められる、という関係ではありません。それぞれ別に確認します。
本人が意思を伝えられる場合
本人が自分で希望を伝えられる状態なら、治療の説明を受け、どうするかを考える中心は本人です。パートナーを頼りたいなら、本人から病院へ次の3点を伝えておくと整理しやすくなります。
- 病状説明:「この人にも説明してください」と伝える
- 情報共有:誰に伝えてよいか、伝えてほしくない相手がいるかを伝える
- 同席:医師の説明や治療方針の話し合いに一緒にいてほしいと伝える
病院では、こう伝えられます
「この人は私のパートナーです。病状の説明はこの人にもしてください。説明のときも同席してほしいです。」
本人が意思を伝えられない場合
パートナーが本人をよく知る人として、これまでの希望や考え方を医療者へ伝えることがあります。ただし、パートナー自身の希望で治療を決めることとは別です。
意識を失っているなど、本人が自分で意思を示せないときは、「誰が代わりに決めるか」だけを見るのではなく、本人なら何を望んだかをできるだけ確認していきます。
- 今の意思を確認する 話せない状態でも、反応や選択から意思を確認できる場合があります。
- これまでの希望を確認する 過去の発言、本人が大切にしてきたこと、残している書面などを手掛かりにします。
- 本人をよく知る人から聞く パートナー、家族、友人などから本人の考えを聞き、医療・ケアチームが方針を検討します。
親族やパートナーの誰かに、全国一律で代理医療同意の権限が移るわけではありません。病院から署名を求められる場合があっても、それと法律上の包括的な代理権は分けて考える必要があります。
救急では:救命処置を急ぐため、通常の入院と同じ順番で説明や話し合いを進められないことがあります。
病院で使われる言葉・書類の違い
ここは必要な項目だけ開いて確認できます。大切なのは、名前ではなく「何のためのものか」を分けることです。
▼ 気になる項目を開いてください。
緊急連絡先・キーパーソン・身元保証人
緊急連絡先
病院から連絡を受ける相手です。登録だけで医療行為への同意権が生じるわけではありません。
キーパーソン
病院との主な連絡窓口をこう呼ぶことがあります。全国統一の法的資格ではありません。
身元保証人・身元引受人
緊急連絡、入院中に必要な物、費用、退院に向けた調整などを求められる場合があります。医療同意とは別です。
国の医療・ケア指針の中には、「家族等」を法的な親族だけでなく、本人が信頼する親しい人まで含めて考えるものもあります。ただし、この言葉の範囲は制度によって異なります。
パートナーシップ受理証明書・委任状・契約書
パートナーシップ受理証明書
二人の関係を病院へ伝える資料の一つとして使える場合があります。具体的な対応は病院ごとに異なります。
委任状
診療情報などの開示請求を代理人へ任せる場面に関係する場合があります。医療行為への同意とは別です。
二人の契約書
今回確認した公的資料では、契約書だけで全国一律の代理医療同意権が生じるという根拠は確認できません。
本人が残した医療の希望
本人の意思を考える手掛かりになります。ただし、その書面を持つ人に医療同意権が移るという意味ではありません。
パートナーシップ受理証明書は、法律婚と同じ権限をつくる書類ではありません。面会・病状説明・医療同意がすべて認められる、とはいえません。
病院で確認しておきたいこと
面会や説明の方法は、病院だけでなく病棟でも違います。入院先が決まったら、次の6つを確認すると「何ができるか」が具体的になります。
- パートナーや友人は面会できるか
- 本人が病状説明をしてほしい相手を登録できるか
- 医師の説明へ同席するには何が必要か
- 緊急連絡先・キーパーソンに何を求めるか
- 受理証明書や本人の希望を書いた書面を確認してもらえるか
- ICU・救急では面会や連絡方法が変わるか
まとめて聞くなら
「同性パートナーです。本人も私に病状を説明してほしいと希望しています。面会、説明への同席、緊急連絡先の登録はどうすればいいですか?」
病院によって実際に違いがある例
- 一般面会について「面会者との関係性は問わない」と案内している公的病院があります。
- 同じ病院でも、一般病棟とICU・救命救急で面会対象や時間を分けている例があります。
- 同性パートナーを家族同様に扱う院内運用を公表している公的病院もあります。
まとめ
- 面会・病状説明・治療方針の話し合い・医療同意は、別々に確認する。
- 本人が意思を伝えられるなら、誰に説明してほしいか、誰に同席してほしいかを本人から病院へ伝える。
- 本人が意思を伝えられないときは、パートナーが本人の考えを伝える役割を担うことはあるが、全国一律の代理医療同意権とは別。
- 病院・病棟によって運用が違うため、入院先で具体的に確認する。
家族へパートナーのことを伝えていない場合や、自分で希望を伝えられない将来への備え、入院前に整理しておきたい情報などは、別の記事で詳しく扱います。ほかのテーマは「LGBTQライフプラン|暮らしのこと、これからのこと」から確認できます。
