ゲイ男性の老後、お金はいくら必要?ひとりでも暮らし続けるための備え

老後に必要なお金は、全員同じ額ではありません。自分の生活費と年金などの収入を比べ、足りない分を何年分備えるか、という順で考えます。
この記事の「ひとりでも」は、家族やパートナーの支援を当然とせず、自分の暮らしの見通しを持つという意味です。頼れる人や制度も含めながら、自分が使えるお金を整理していきます。ふらっとゲイバーマップのアンケートでは、健康とお金の両方を悩みに選んだ人は40代で17名、50代で25名でした。各年代30名の無作為抽出ではない調査で、老後の必要額を測ったものではありません。健康や働き方の変化も、収支の見通しと一緒に考える手がかりです。年代別アンケートを見る
必要額は毎月の不足から
まずは、老後も続く支出と、年金・給与などの定期収入を月額で並べます。支出が収入を上回る分が、毎月の不足額です。「老後2,000万円」は何の数字?
出典:金融庁・金融審議会「高齢社会における資産形成・管理」(2019年6月)。
年金と働く期間を確かめる
自分の年金は、平均額からではなく、加入記録と見込額から確かめます。「ねんきん定期便」か「ねんきんネット」を開き、会社勤め・自営業・転職などの期間と納付状況を見てください。覚えのない空白や違いは、年金事務所などで確認できます。試算は確定した支給額ではありません。共済の報酬比例部分など、表示へ含まれないものは関係共済でも確認します。根拠:日本年金機構「ねんきん定期便」「ねんきんネットによる年金見込額試算」等。
住まいと毎月の生活費を見積もる
住まいの費用は、今の契約や請求書から拾います。家賃だけ、住宅ローンだけで終わらせず、毎月の負担と、数年ごとに発生する負担を分けておきます。出典:総務省統計局「家計調査 2025年平均結果」、単身世帯の原表。持ち家を借りたと仮定した家賃相当額(帰属家賃)は、家計支出に含まれません。
医療・介護と一時支出
医療・介護には公的な負担軽減の仕組みがあります。ただ、対象になる費用と対象外の費用があり、必要になる時期や期間も人によって違います。毎月の生活費へ入れた分と、追加で備える分を分けます。医療費と周辺費用
医療保険の自己負担は年齢・所得などで異なり、高額療養費にも条件別の上限があります。入院中の食費や差額ベッド代などは、その上限へ含まれません。通院の交通費なども別の生活支出として見ておきます。 加入している保険の窓口へは、「自分の負担区分」「対象外になる費用」「窓口での支払いと還付の時期」を尋ねると、必要な手元資金を整理しやすくなります。高額療養費は2026年8月から上限等が見直され、年間上限も設けられています。古い早見表をそのまま使わず、受診時点の案内で確かめます。
介護費と生活費
介護保険対象サービスの自己負担は原則1割で、一定以上の所得がある65歳以上の人は2割・3割です。施設などの食費・居住費・日常生活費は別にかかります。高額介護サービス費にも対象外の費用があり、食費・居住費の軽減には所得・資産などの条件があります。 自治体の介護保険窓口や地域包括支援センターへ、保険対象の負担、対象外の費用、利用できる軽減を分けて尋ねます。施設へ移るなら、今の家賃や食費と入れ替わる分もあるため、現在の生活費へ全額を上乗せしないようにします。一時支出の時期と負担者
住み替え、家具・家電の交換、住宅修繕、葬儀や住居の片付けなどは、毎月の支出と別欄へ。分かる見積もりと、自分が負担する範囲を入れます。金額が決まっていないものは仮置きし、予備費と重複して加えていないかを点検してください。根拠:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」「介護保険制度の概要」等。医療・介護の個人の将来費用を、平均額と平均期間だけで予測するものではありません。
条件を変えて3つの見通しを作る
予定通りの働き方だけでなく、家賃などの支出が増える場合、仕事を早く離れる場合も並べます。一度にすべてを変えず、何を変えると不足が増えるのかを見ていきます。説明のための完全な架空例
以下は実際の相談事例でも、ゲイ男性の標準でもありません。退職時点から先を計算し、現在から退職までの収入・積立は含めていません。- 基本は65歳退職、90歳になるまでの25年間。
- 65歳からの年金は額面月15万円。退職後の給与・仕送り等は0。
- 総支出は月18万円。家賃6万円と、それ以外12万円(税・公的保険料、日常費、通常の通院費などを含む)。
- 退職時に使える本人資産500万円。借入や別枠の退職金はなし。
- 通常支出に含めない一時費用・追加の医療介護等の予備費は、合わせて200万円と仮定。この額で十分という推奨ではありません。
- 簡単な計算のため、物価・年金改定・運用損益は0と仮定。
A|基本の見通し
65歳退職。月18万円の支出に対し、年金は額面月15万円。月3万円の不足が25年間続くとします。3万円 × 12 × 25年 = 900万円 900万円 + 200万円 − 500万円 = 600万円(65歳時点の追加準備の目安)
B|住居費が増える見通し
家賃を月6万円から8万円へ変え、その他の条件はAと同じにします。総支出は月20万円、不足は月5万円です。5万円 × 12 × 25年 + 200万円 − 500万円 = 1,200万円(65歳時点の追加準備の目安)
家賃上昇の予測ではありません。増える額と、いつから何年間続くかを置いた計算例です。
C|仕事を早く離れる見通し
60歳で退職し、65歳の年金開始まで給与・年金等の定期収入が0と仮定。税・公的保険料込みの月18万円の支出が、その5年間も続くとします。年金開始前:18万円 × 12 × 5年 = 1,080万円 年金開始後:3万円 × 12 × 25年 = 900万円 1,080万円 + 900万円 + 200万円 − 500万円 = 1,680万円(60歳時点の追加準備の目安)
差を示すため、年金額・退職時の資産・税保険込み支出を固定しています。実際の早期退職では、加入期間や年金額、貯蓄・退職金、税・保険料も変わるため、開始前後で入れ直します。給付を受けられるかは本人の条件で確認します。
ひとりでも、パートナーがいても備える
老後の見通しは、自分の年金、自分が使える資産、自分で払う生活費から作ります。そのうえで、二人で分担する費用や、家族・友人と合意できた支援を別欄へ。頼る部分と自分で備える部分が見えてきます。各自のお金と二人の生活費
たとえば家賃を半分ずつ払っているなら、自分の計画には自分の負担分を入れ、共同費の欄へ二人の合計額と分担を書きます。どちらかの収入が減った場合や、一人で暮らす場合の住居費も一度並べてみてください。 自治体のパートナーシップ制度の証明書だけで、年金や相続の扱いが法律婚と同じになるわけではありません。対象や条件は、それぞれの制度で確認します。相手の資産や将来受け取れるかもしれない給付は、自分が使えると分かっている資金と分けます。家族や職場へ関係を伝えていることを、計画の前提にする必要はありません。ひとり暮らしでも、支える人や窓口を持つ
お金の表と一緒に、体調を崩した時に連絡してほしい人、支払いの管理が難しくなった時の相談先、住まいや介護の窓口も残しておけます。頼む相手には、連絡方法、できる範囲、費用がかかることを事前に話しておきます。 相手は家族、パートナー、友人、コミュニティなどから選べます。無償の介護や立替を当然とせず、公的サービスや有料支援も含めて考えます。連絡先を決めることと、口座管理などの権限を任せる手続きは別に整理してください。年代別に今できること
年代別アンケートにあった生活費、働き方、健康、親の介護、つながりへの悩みも手がかりにした行動例です。年齢ごとの義務や必要な貯金額を決めるものではありません。自分の概算を書き出す
最初は紙一枚や表計算で十分です。分からない欄は「未確認」とし、分かる数字から埋めます。退職や年金開始などで収支が変わるなら、期間ごとに列を分けてください。分からないことの確認先
まず取りかかる3つ
- 本人の年金記録と見込額を出す。
- 住居費を含む現在の支出を集める。
- 基本と条件変更の概算を一枚に書く。
参考資料・情報の確認範囲
- 日本年金機構「ねんきん定期便の様式と見方ガイド(令和8年度)」(2026年10月以降送付分)、「ねんきんネットによる年金見込額試算」(更新2025年1月7日)、試算表示に関するFAQ(更新2026年3月17日)ほか:加入記録、見込額、単位、受給時期。
- 総務省統計局「家計調査 2025年平均結果」(2026年2月6日公表)・単身世帯原表・Q&A:住居費と世帯条件。平均値を本人の支出へ置き換えないために使用。
- 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(更新2026年7月31日)・2026年8月からの見直し資料、「介護保険制度の概要」(2025年7月資料)ほか:公的負担、対象外費用、条件による違い。
- 国土交通省「住宅セーフティネット制度」「居住サポート住宅情報提供システムの公開」(2025年9月30日発表):高齢期の住宅相談と居住支援。
- 金融庁・金融審議会「高齢社会における資産形成・管理」(2019年6月3日公表)、金融庁「資産形成の基本」:平均額の前提、目的・時期に応じた資金の扱い。
- 日本FP協会「便利ツールで家計をチェック」「今からはじめるリタイアメントプランニング」「くらしとお金のワークブック PART4」(冊子は2026年9月改訂):収入・支出・一時費用・年間残高の整理方法。
- 狭山市「パートナーシップ宣誓制度」(更新2026年10月1日)等:自治体制度と各制度の権利・条件を分ける確認。
- ふらっとゲイバーマップ編集部「アンケート調査2026年」20代・30代・40代・50代・年代まとめ:各年代30名、計120名。最大3項目の順位回答と自由記述。導入の人数は選択者数で、順位ポイントの構成比とは異なります。
