ゲイ男性の老後、お金はいくら必要?ひとりでも暮らし続けるための備え

年金や住まいの費用を考えながら、家計の書類を見直す中高年男性。ゲイ男性の老後資金を扱うLGBTQライフプランのアイキャッチ

老後に必要なお金は、全員同じ額ではありません。自分の生活費と年金などの収入を比べ、足りない分を何年分備えるか、という順で考えます。

この記事の「ひとりでも」は、家族やパートナーの支援を当然とせず、自分の暮らしの見通しを持つという意味です。頼れる人や制度も含めながら、自分が使えるお金を整理していきます。

情報確認:

ふらっとゲイバーマップのアンケートでは、健康とお金の両方を悩みに選んだ人は40代で17名、50代で25名でした。各年代30名の無作為抽出ではない調査で、老後の必要額を測ったものではありません。健康や働き方の変化も、収支の見通しと一緒に考える手がかりです。年代別アンケートを見る

必要額は毎月の不足から

まずは、老後も続く支出と、年金・給与などの定期収入を月額で並べます。支出が収入を上回る分が、毎月の不足額です。
毎月の支出 − 毎月の収入 = 毎月の不足額 毎月の不足額 × 12 × 想定年数 + 一時支出・予備費 − 老後に使える準備済み資産 = 追加で備える額の目安
たとえば月3万円の不足が25年間続くなら、3万円×12×25年で900万円です。そこへ住み替えなどの一時費用を加え、この計画に使える貯蓄などを差し引きます。月額に年数だけを掛けると、12か月分が抜けてしまいます。 この式は、収支が一定だと仮定した簡単な目安です。年金開始前と後、仕事を続ける間と辞めた後で額が変わるなら、期間を分けます。合計だけでなく、途中で資金が足りなくなる年がないかも見ておくと役立ちます。最後の計算がマイナスなら、その条件での追加準備の目安は0円です。支出が増えた場合も比べておきます。 資産へ入れるのは、自分が老後のために使える分です。退職時点から計算するなら、資産もその時点の見込み額にそろえ、今の貯蓄とこれからの積立・退職金を分けて書きます。他の目的に残すお金、共同の資産、借入の返済も分け、自宅の評価額をそのまま生活費に使える現金として数えないようにします。
「老後2,000万円」は何の数字?
2019年の金融審議会報告書では、2017年の家計調査に基づく高齢夫婦無職世帯の平均不足を、20~30年間へ延ばした参考計算が示されました。夫65歳以上・妻60歳以上の夫婦のみの世帯が前提です。単身男性やゲイ男性の必要額を調べた数字ではなく、現在の全員共通の目標にもなりません。

出典:金融庁・金融審議会「高齢社会における資産形成・管理」(2019年6月)。

年金と働く期間を確かめる

自分の年金は、平均額からではなく、加入記録と見込額から確かめます。「ねんきん定期便」か「ねんきんネット」を開き、会社勤め・自営業・転職などの期間と納付状況を見てください。覚えのない空白や違いは、年金事務所などで確認できます。
50歳未満の定期便これまでの加入実績に応じた年額。今後の加入分を含む最終的な見込額ではありません。
50~59歳の定期便現在の加入条件が60歳まで続く仮定の見込額。予定している働き方が違うなら、条件を変えて試算します。
ねんきんネット「詳細な条件で試算」で、今後の収入・働く期間・受給開始年齢などを変更できます。まず予定の条件、次に仕事を早く離れる条件を保存して比べます。
結果を見るときは、年額・月額と、額面・手取りをそろえます。定期便は年額表示ですが、ねんきんネットの試算結果「1.年金見込額」は月額です。額面の収入なら税・公的保険料を支出へ含め、控除後の振込額なら、引かれた分を再び支出へ足さないようにします。 退職年齢と年金の受給開始年齢も別に置きます。老齢年金は要件を満たせば原則65歳から。受給開始を待つ場合は、その間の生活費が必要です。繰上げは生涯減額となり取消しができないため、受取額だけで決めず、制度の注意点も確かめてください。 働きながら受け取る老齢厚生年金は、給与・賞与などによって調整される場合があります。給与をいつまで、どの程度見込むかを置き、年金開始前後の収支を分けると、働く期間の違いを整理できます。

試算は確定した支給額ではありません。共済の報酬比例部分など、表示へ含まれないものは関係共済でも確認します。根拠:日本年金機構「ねんきん定期便」「ねんきんネットによる年金見込額試算」等。

住まいと毎月の生活費を見積もる

住まいの費用は、今の契約や請求書から拾います。家賃だけ、住宅ローンだけで終わらせず、毎月の負担と、数年ごとに発生する負担を分けておきます。
賃貸家賃・共益費、契約による更新料・保証料、保険料など。引越しを考えるなら、新居の初期費用と引越し代は一時支出へ。
持ち家残るローン、固定資産税、管理費・修繕積立金、設備交換・修繕など。ローン完済後も続く費用を書きます。
日常生活食費、光熱・通信、交通、任意保険、交際・趣味、通常の通院など。税・公的保険料は、収入を額面と手取りのどちらで書くかに合わせます。
年払いの費用は12で割るなどして月額へそろえると、比べやすくなります。旅行や友人との交流など、続けたい楽しみも入れてください。今より減る支出と、残したい支出を自分で選ぶことが、生活水準の見積もりになります。
家計統計の住居費を、自分の家賃にしない。2025年家計調査の65歳以上単身無職世帯では、住居の月平均は11,416円、持家率は87.0%でした。平均年齢も77.8歳です。持ち家の多い集団の平均で、賃貸を続ける人の家賃相場ではありません。

出典:総務省統計局「家計調査 2025年平均結果」、単身世帯の原表。持ち家を借りたと仮定した家賃相当額(帰属家賃)は、家計支出に含まれません。

高齢期も賃貸で暮らすなら、費用と一緒に次の住まいを探す方法も考えておけます。自治体の住宅相談や居住支援の窓口では、利用条件、家賃・初期費用、保証や生活支援の費用を確かめます。

医療・介護と一時支出

医療・介護には公的な負担軽減の仕組みがあります。ただ、対象になる費用と対象外の費用があり、必要になる時期や期間も人によって違います。毎月の生活費へ入れた分と、追加で備える分を分けます。

医療費と周辺費用

医療保険の自己負担は年齢・所得などで異なり、高額療養費にも条件別の上限があります。入院中の食費や差額ベッド代などは、その上限へ含まれません。通院の交通費なども別の生活支出として見ておきます。 加入している保険の窓口へは、「自分の負担区分」「対象外になる費用」「窓口での支払いと還付の時期」を尋ねると、必要な手元資金を整理しやすくなります。

高額療養費は2026年8月から上限等が見直され、年間上限も設けられています。古い早見表をそのまま使わず、受診時点の案内で確かめます。

介護費と生活費

介護保険対象サービスの自己負担は原則1割で、一定以上の所得がある65歳以上の人は2割・3割です。施設などの食費・居住費・日常生活費は別にかかります。高額介護サービス費にも対象外の費用があり、食費・居住費の軽減には所得・資産などの条件があります。 自治体の介護保険窓口や地域包括支援センターへ、保険対象の負担、対象外の費用、利用できる軽減を分けて尋ねます。施設へ移るなら、今の家賃や食費と入れ替わる分もあるため、現在の生活費へ全額を上乗せしないようにします。

一時支出の時期と負担者

住み替え、家具・家電の交換、住宅修繕、葬儀や住居の片付けなどは、毎月の支出と別欄へ。分かる見積もりと、自分が負担する範囲を入れます。金額が決まっていないものは仮置きし、予備費と重複して加えていないかを点検してください。

根拠:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」「介護保険制度の概要」等。医療・介護の個人の将来費用を、平均額と平均期間だけで予測するものではありません。

条件を変えて3つの見通しを作る

予定通りの働き方だけでなく、家賃などの支出が増える場合、仕事を早く離れる場合も並べます。一度にすべてを変えず、何を変えると不足が増えるのかを見ていきます。

説明のための完全な架空例

以下は実際の相談事例でも、ゲイ男性の標準でもありません。退職時点から先を計算し、現在から退職までの収入・積立は含めていません。
  • 基本は65歳退職、90歳になるまでの25年間。
  • 65歳からの年金は額面月15万円。退職後の給与・仕送り等は0。
  • 総支出は月18万円。家賃6万円と、それ以外12万円(税・公的保険料、日常費、通常の通院費などを含む)。
  • 退職時に使える本人資産500万円。借入や別枠の退職金はなし。
  • 通常支出に含めない一時費用・追加の医療介護等の予備費は、合わせて200万円と仮定。この額で十分という推奨ではありません。
  • 簡単な計算のため、物価・年金改定・運用損益は0と仮定。

A|基本の見通し

65歳退職。月18万円の支出に対し、年金は額面月15万円。月3万円の不足が25年間続くとします。

3万円 × 12 × 25年 = 900万円 900万円 + 200万円 − 500万円 = 600万円(65歳時点の追加準備の目安)

B|住居費が増える見通し

家賃を月6万円から8万円へ変え、その他の条件はAと同じにします。総支出は月20万円、不足は月5万円です。

5万円 × 12 × 25年 + 200万円 − 500万円 = 1,200万円(65歳時点の追加準備の目安)

家賃上昇の予測ではありません。増える額と、いつから何年間続くかを置いた計算例です。

C|仕事を早く離れる見通し

60歳で退職し、65歳の年金開始まで給与・年金等の定期収入が0と仮定。税・公的保険料込みの月18万円の支出が、その5年間も続くとします。

年金開始前:18万円 × 12 × 5年 = 1,080万円 年金開始後:3万円 × 12 × 25年 = 900万円 1,080万円 + 900万円 + 200万円 − 500万円 = 1,680万円(60歳時点の追加準備の目安)

差を示すため、年金額・退職時の資産・税保険込み支出を固定しています。実際の早期退職では、加入期間や年金額、貯蓄・退職金、税・保険料も変わるため、開始前後で入れ直します。給付を受けられるかは本人の条件で確認します。

長く暮らす場合も比べてみます。Aを95歳になるまでの30年へ延ばすと、3万円×12×30年+200万円−500万円で780万円です。90歳・95歳は説明用の計画条件で、寿命の予測や上限ではありません。 この例では価格を一定にしていますが、長い期間では物価、年金の改定、医療・介護、運用結果も変わります。実際の見通しは年ごとの表にし、支出が増える年や収入が変わる年を入れて比較します。将来の金額を入れる場合は、その年の収入・支出を同じ基準でそろえます。 備えるお金も、近い時期に使う分と長い期間置ける分に分けます。必要な時に引き出せること、値下がりした時にも支払いができることを考え、運用益だけで不足が埋まる前提にはしないようにします。

ひとりでも、パートナーがいても備える

老後の見通しは、自分の年金、自分が使える資産、自分で払う生活費から作ります。そのうえで、二人で分担する費用や、家族・友人と合意できた支援を別欄へ。頼る部分と自分で備える部分が見えてきます。

各自のお金と二人の生活費

たとえば家賃を半分ずつ払っているなら、自分の計画には自分の負担分を入れ、共同費の欄へ二人の合計額と分担を書きます。どちらかの収入が減った場合や、一人で暮らす場合の住居費も一度並べてみてください。 自治体のパートナーシップ制度の証明書だけで、年金や相続の扱いが法律婚と同じになるわけではありません。対象や条件は、それぞれの制度で確認します。相手の資産や将来受け取れるかもしれない給付は、自分が使えると分かっている資金と分けます。家族や職場へ関係を伝えていることを、計画の前提にする必要はありません。

ひとり暮らしでも、支える人や窓口を持つ

お金の表と一緒に、体調を崩した時に連絡してほしい人、支払いの管理が難しくなった時の相談先、住まいや介護の窓口も残しておけます。頼む相手には、連絡方法、できる範囲、費用がかかることを事前に話しておきます。 相手は家族、パートナー、友人、コミュニティなどから選べます。無償の介護や立替を当然とせず、公的サービスや有料支援も含めて考えます。連絡先を決めることと、口座管理などの権限を任せる手続きは別に整理してください。

年代別に今できること

年代別アンケートにあった生活費、働き方、健康、親の介護、つながりへの悩みも手がかりにした行動例です。年齢ごとの義務や必要な貯金額を決めるものではありません。
20代今の生活と年金記録をつかむ。家賃や食費の実額、加入・納付記録から。将来のために今の健康や生活を削りすぎず、続けられる範囲で備えます。
30代働き方や同居の変化を反映する。転職、自営、同居、住み替えの節目に年金と生活費を更新。共同費と各自の貯蓄を分けて話す機会にできます。
40代条件を変えた見通しを一度作る。年金、家賃、働く期間を仮置きし、基本・支出増・早期退職を比較。親の介護などで就労が変わりそうな期間も別に置きます。
50代退職前後の収支を具体化する。退職金の有無・時期、再雇用条件、年金開始、住まいを並べます。今からでも、働く期間や支出の選択を整理できます。

自分の概算を書き出す

最初は紙一枚や表計算で十分です。分からない欄は「未確認」とし、分かる数字から埋めます。退職や年金開始などで収支が変わるなら、期間ごとに列を分けてください。
期間退職年齢、年金開始年齢、何歳まで見通すか。
収入期間ごとの年金、給与、その他収入。年額・月額、額面・手取りも記入。
住まい・日常費家賃等、食費、光熱・通信、交通、任意保険、交際、通常の通院、税・公的保険料。控除済みの分は二重に入れない。
追加の支出追加の医療・介護、住み替え、修繕、家電、葬儀・片付け等。金額と時期、続く期間を仮置き。
使える資産計算開始時点に、本人がこの計画に使える額。退職金は資産と一時収入に二重計上しない。
予備費・共同負担一時支出とは別に残す予備費、合意した分担・援助。
見直し未確認の数字、条件を変えて比べる点、次の見直し時期。

分からないことの確認先

年金年金事務所・街角の年金相談センター。定期便、勤務・加入の履歴、試算結果を手元に、記録や表示の疑問を尋ねます。共済期間は関係共済へ。
医療の負担加入している医療保険の窓口。自分の区分、対象外費用、支払い・還付の時期を確認します。
介護・住まい介護は自治体の介護保険窓口・地域包括支援センター、住まいは自治体の住宅相談・居住支援窓口。利用条件と自分が払う費用を分けて尋ねます。
収支をまとめる年金・家計・住居費を年次収支へまとめ、複数の条件を比べたい場合はFPに相談する方法もあります。埋めた表と「どの条件を変えたいか」のメモを用意します。

まず取りかかる3つ

  1. 本人の年金記録と見込額を出す。
  2. 住居費を含む現在の支出を集める。
  3. 基本と条件変更の概算を一枚に書く。
一度で完成させる必要はありません。働き方や住まいが変わった時に数字を更新すれば、自分の暮らしに合う見通しへ近づけられます。
参考資料・情報の確認範囲
公的資料等で確認できる一般情報と、自分の条件を入れる概算方法をまとめています。制度・統計の確認日は2026年10月11日です。
  • 日本年金機構「ねんきん定期便の様式と見方ガイド(令和8年度)」(2026年10月以降送付分)、「ねんきんネットによる年金見込額試算」(更新2025年1月7日)、試算表示に関するFAQ(更新2026年3月17日)ほか:加入記録、見込額、単位、受給時期。
  • 総務省統計局「家計調査 2025年平均結果」(2026年2月6日公表)・単身世帯原表・Q&A:住居費と世帯条件。平均値を本人の支出へ置き換えないために使用。
  • 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(更新2026年7月31日)・2026年8月からの見直し資料、「介護保険制度の概要」(2025年7月資料)ほか:公的負担、対象外費用、条件による違い。
  • 国土交通省「住宅セーフティネット制度」「居住サポート住宅情報提供システムの公開」(2025年9月30日発表):高齢期の住宅相談と居住支援。
  • 金融庁・金融審議会「高齢社会における資産形成・管理」(2019年6月3日公表)、金融庁「資産形成の基本」:平均額の前提、目的・時期に応じた資金の扱い。
  • 日本FP協会「便利ツールで家計をチェック」「今からはじめるリタイアメントプランニング」「くらしとお金のワークブック PART4」(冊子は2026年9月改訂):収入・支出・一時費用・年間残高の整理方法。
  • 狭山市「パートナーシップ宣誓制度」(更新2026年10月1日)等:自治体制度と各制度の権利・条件を分ける確認。
  • ふらっとゲイバーマップ編集部「アンケート調査2026年」20代・30代・40代・50代・年代まとめ:各年代30名、計120名。最大3項目の順位回答と自由記述。導入の人数は選択者数で、順位ポイントの構成比とは異なります。
計算例の年金額、支出、資産、予備費、年齢はすべて説明用の仮定です。アンケートや統計から作った必要額ではありません。

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