あのプールで、僕たちはつながった。 LGBTQの人たちが語る、市民プールでの出会いと記憶 LGBTQの人たちが語る、市民プールの記憶
一部の市民プールは、泳ぐだけでなく、ゲイ男性を中心としたLGBTQの人たちが友人やパートナーと過ごし、同じコミュニティの存在を感じる場所にもなっています。寄せられた回答から、そこで生まれた出会いや記憶、もし失われたときへの思いをたどります。
※本記事でいう「お仲間が集まる市民プール」は、施設による正式な名称や区分ではありません。回答者が、LGBTQの人たちが集まる場所として認識している市民プールを指しています。
利用者が語る、市民プールの記憶
回答全体の傾向と、プールでの過ごし方、出会い、コミュニティ、場所への思いが伝わる声を、6つのテーマに分けて紹介します。
※本記事は個人の体験を紹介するものです。回答文は、意味を変えない範囲で読みやすく整えています。特定の施設や利用者全体を代表するものではありません。
回答者の現在の年代
そのプールを知ったきっかけ
初めて訪れた時期は「30〜39歳の頃」が32%で最も多く、「23〜29歳の頃」が25%、「40〜49歳の頃」が21%と続きました。きっかけでは、友人・知人やパートナーなど、人を介して知った回答が目立ちます。一方、ネットや噂で知った人、泳ぐことやナイトプール自体を目的に訪れた人もいました。
初めて訪れた時期
相方がプールに行きたいと言ったので、一緒に行くことになったのがきっかけです。
上京し、以前から気になっていたプールへ行ってみたいと思いました。
知人から教えてもらい、興味を持ったのがきっかけです。
友だちに誘われました。目的は、普通にプールを楽しむことでした。
ゲイの人やガチムチの人が多く集まると聞き、訪れてみたいと思いました。
泳ぐ、浮かぶ、日焼けする
回答で多く見られたのは、泳ぐ、日焼けする、水に浮かぶ、友人やパートナーと話すといった過ごし方です。大人数で訪れ、帰りに食事やゲイバーへ向かった人もいました。また、周囲に同じコミュニティの人がいることを感じながら過ごしたという回答もあり、同じプールでも過ごし方はさまざまでした。
相方と二人で、のんびり泳いだり歩いたりしながら、水に漂っていました。
友人7〜8人でプールへ行き、その後は食事をしてからゲイバーへ飲みに行きました。
暑い日の避暑という感覚で、水に入って涼んだり、日焼けしたりしていました。
仲間内で、ゆっくり話しながら過ごしました。
周囲を眺めながら、「ビューティーパトロール」をして過ごしました。
泳ぐ場所と、「お仲間」が集う場所泳ぐ場所と、「お仲間」が集う場
回答には、「一般の来場者と同じように過ごした」という声と、「同じゲイの人が多くいる風景が印象的だった」という声が並びました。利用者同士の距離の近さに戸惑った人がいる一方、普通に過ごしていても疑われたように感じた人や、一部の振る舞いがほかの利用者への迷惑になると考えた人もいます。市民プールは公共の場であり、誰もが施設のルールと周囲への配慮を守ることが前提です。そのうえで、同じ場所が人によって異なる意味を持っていたことが分かります。
東京には、こんなにたくさんゲイの人がいるのかと思いました。
お仲間がたくさんいて不思議な感じがしましたが、楽しかったです。
一般の来場者と同じように過ごしていました。
友人と普通にトイレへ行っただけでしたが、監視員に様子をうかがわれ、何かをする人と同じように見られたことが不快でした。
一部のお仲間の振る舞いは、一般の利用者に迷惑ではないかと感じました。
出会いと、その後のつながり
新しく知り合った人が「いた」のは29%、「いなかった」は71%でした。出会い方は、友人の紹介、目が合って会話を始めたこと、SNSやアプリでの連絡などさまざまです。その後も飲み屋やクラブで交流が続いた人がいる一方、一度きりで終わった人もいました。また、7割を超える人が「いなかった」と答えており、プールのつながりは、新しい知人をつくることだけではなかったと考えられます。
新しく知り合った人は?
友だちの友だちやSNSを通じて、自然に交流が広がりました。
何となく目が合い、話すようになりました。
プールで見かけた人から、後でSNSを通じてメッセージが届きました。
その後は、飲み屋やクラブなどでも交流が続きました。
その場で少し話して連絡先を交換しましたが、交流は続きませんでした。
社交場、憩い、ただのプール
「社交場」「都会の癒し」「夏の思い出」といった声がある一方、「ただの安価なプール」「行ったことがある場所の一つ」と捉える人もいました。また、「のんびり遊べて、しっかり泳げる場所」という声もあります。泳ぐ、友人と過ごす、同じコミュニティを感じる、その場の人や空気を楽しむ。それぞれの過ごし方が重なっていたからこそ、ひとつの言葉だけでは説明できない場所になっていたようです。
お仲間同士が交流できる社交場です。
夏のオアシスのような場所です。
安く水泳を楽しめて、ゲイタウンの外でゲイの多い空間も感じられる貴重な場所です。
私にとっては、ただの安価なプールです。
のんびり遊べて、しっかり泳いで運動もできるプールです。
もし、その場所がなくなったら
もしなくなったら「寂しい」「残念」と感じる声が多く、「コミュニティの消失」と表現した人もいました。一方、別の場所へ行く、特に何も感じないという回答もあります。施設維持の難しさやルールの必要性に触れた人もおり、残したい気持ちだけでなく、公共施設として続いていくための条件にも目が向けられていました。
行けば誰かがいる。そのようなプールがなくなるのは、寂しいと思います。
コミュニティが失われるように感じます。
近場で安く利用できるプールがなくなるのは、ショックで悲しいです。
あまり思い入れはないので、ほかの場所へ行くと思います。
特に何も感じないと思います。
アンケートの中で見えたこと
寄せられた声から見えてきたのは、市民プールが一つの意味だけでは語れないということです。泳ぎや日焼けを楽しむ場所であり、友人やパートナーと過ごす夏の遊び場であり、同じコミュニティの存在を感じられる社交場でもありました。その場で自然な交流が生まれた人もいれば、ただ安く泳げる場所と捉えた人、ルールへの懸念を示した人もいます。
新しく知り合った人がいたのは、回答者の29%でした。それでも、「行けば誰かがいる」「ゲイタウンの外で同じコミュニティを感じられる」という声があります。このことから、プールでのつながりは、必ずしも新しい友人をつくることだけではなかったと考えられます。同じ場所でそれぞれに過ごし、互いの存在を感じられること自体が、居場所の一部だったのかもしれません。
アンケートは随時受け付けています。あなたが過ごした市民プールでの思い出も、ぜひお聞かせください。
