「沼プー」で過ごした、あの夏。 LGBTQの人たちが語る、沼影市民プールの記憶LGBTQの人たちが語る「沼プー」
映画『沼影市民プール』の公開をきっかけに、かつてこの場所を訪れたLGBTQの人たちに、当時の思い出を尋ねました。寄せられた声から、それぞれの夏の記憶をたどります。
利用者が語る「沼プー」
回答全体の傾向と、当時の情景や人とのつながりが伝わる声を、6つのテーマに分けて紹介します。
※本記事は個人の体験を紹介するものです。回答文は、内容を変えない範囲で読みやすく整えています。
「沼プー」を訪れたきっかけ
「23〜29歳頃」と「30〜39歳頃」に初めて訪れた人が多く、合わせて69.4%を占めました。友人や恋人からの誘いに加え、手頃な料金や施設の充実も、足を運ぶきっかけになっていました。
初めて訪れた時期
有効回答:62名友人から「楽しいプールがある」と聞き、一緒に訪れたのが最初だったと思います。
市民プールならではの手頃な料金で、いろいろな種類のプールを楽しめると知ったのがきっかけです。
ゲイの間でよく知られたプールだと聞いていました。友人と遊びに行くのにもよさそうな雰囲気だったので、訪れてみたいと思いました。
家の近くにあり、流れるプールやスライダーも楽しめる市民プールだったので、足を運びました。
インターネットの掲示板で沼影市民プールのことを見かけ、どんな場所なのか気になって訪れました。
流れるプールで過ごした夏
多くの人が、仲間と流れるプールやスライダーを楽しんでいました。プールだけでなく、近くの工場から漂うチョコレートの香りや、帰りに立ち寄った店まで、夏の記憶として残っています。
近くのロッテ工場から流れてくるチョコレートの香りを感じながら、友人たちと流れるプールを何周も回っていました。
友人と流れるプールやスライダーで遊び、帰りにサイゼリヤでたくさん食べるまでが、毎年の夏の定番でした。
子どもの頃は大きく見えた設備が、大人になって訪れると小さく感じられました。その変化に、自分の成長を実感しました。
体の大きな友人がスライダーを滑ると、カーブするたびにガタガタと音がして、壊れるのではないかとヒヤヒヤしました。
簡易テントと、近くのスーパーで買ったお弁当を持参し、流れるプールやスライダーで丸一日遊びました。時間を気にせず、さまざまな施設を楽しめるのが魅力でした。
ゲイも集った市民プール
誰もが利用できる市民プールであり、同時に、ゲイの間でもよく知られた場所でした。家族連れをはじめ、さまざまな人が同じ空間で自然に過ごせる雰囲気を、居心地のよさとして挙げる声もありました。
家族連れもゲイのグループも、同じ空間で自然に過ごしていました。ほかのプールに比べて、利用者同士の間に壁がないように感じました。
家族連れが多い大規模なプールだったので、ゲイの利用者だけが目立つことはありませんでした。そのため、周囲を気にせず自然に過ごせました。
流れるプールには家族連れが多く、競泳用のプールにはゲイの利用者が多いなど、利用する場所が自然に分かれているように見えました。
LGBTQの人たちも訪れる場所だと知られていたので、ほかの場所よりも声をかけやすく感じました。
奥の50メートルプールや、そのそばの観客席に、ゲイの方が大勢集まっていたことが特に印象に残っています。
出会いと仲間のつながり
新しく知り合った人がいる一方、多くの人は親しい仲間と訪れ、一緒に過ごす時間を楽しんでいました。沼影市民プールは、新たな出会いだけでなく、仲間との関係を深める場でもあったようです。
新しく知り合った人は?
回答:64名友人を通じて別のグループに加わり、そこで新しい友人ができました。その人とは、今でも数か月に一度遊んでいます。
現地で別の友人グループと合流し、お互いのメンバーを紹介し合いました。そこから交流が広がりました。
流れるプールで過ごしていると、SNSで自分を知っていた人から声をかけられ、それをきっかけに交流が生まれました。
新しく知り合った人はいませんが、友人4、5人と訪れることが多く、仲間たちとゆったり過ごしていました。
自分から声をかけ、その後しばらくは一緒に遊びましたが、やがて疎遠になりました。
昼間に仲間と集まれる場所
一日ゆっくり過ごせて、親しい人を気軽に誘える場所でした。夜の飲み屋とは異なり、夏の昼間に仲間と会えることに魅力を感じていた人もいます。
普段、ゲイの友人と会うのは、飲み屋など夜の時間帯が中心でした。沼影市民プールでは、仲間と昼間に遊ぶ楽しさを知りました。
親しい友人たちと泳ぎ、流れるプールではしゃぎ、何度もウォータースライダーに乗りました。学生時代に戻れたような場所です。
友人4人ほどで、水に浮かびながらのんびり過ごしました。手頃な料金で気軽に行ける、夏の避暑地のような場所でした。
飲み屋のイベントに誘われて訪れました。人見知りだった私が、仲間の集まりに加われるようになった場所です。
友人や好きな人と、流れるプールやスライダーを楽しみました。また、学童の子どもたちを引率して訪れたこともあります。子どもから大人まで楽しめる、埼玉の自慢のプールでした。
閉鎖後に残った思い
「寂しい」「残念」という声が多く、夏の定番を失った感覚が語られました。一方で、今の生活には影響がないという回答もあり、閉鎖の受け止め方は一様ではありません。
沼影市民プールは、友人と流れるプールに身を任せて過ごす「夏の象徴」のような場所でした。なくなってから、季節を実感する機会がひとつ減った気がします。
閉鎖されたと知って、とても悲しくなりました。今では毎年、夏にプールへ行こうとしても、どこへ行けばよいのか迷っています。
若い頃に通っていた飲み屋が閉店したような感覚です。今の生活に直接影響はありませんが、思い出の場所がなくなったことには少し寂しさがあります。
閉鎖は時代の流れだと感じます。夏は暑さが厳しすぎて、屋外プールは以前ほど利用されにくいのではないかと思います。
これまで楽しませてくれてありがとう、という気持ちです。同時に、いつかまた戻ってきてほしいという寂しさもあります。
寄せられた声からは、沼影市民プールが、泳ぐためだけの施設ではなく、友人や恋人と夏を過ごし、人とのつながりを育む場所でもあったことが伝わってきました。施設がなくなった今も、「沼プー」はそれぞれの記憶の中に残り続けています。
アンケートは随時受け付けています。あなたの「沼プー」での思い出も、ぜひお聞かせください。
