パートナーシップ契約とは?|なぜ結ぶのか・何を決められるのか

二人の男性がパートナーシップ契約について話し合う様子を描いたイラスト

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最初に大切な点です。自治体のパートナーシップ宣誓・届出をして受理証明書が交付されても、それだけで法律上の配偶者になるわけではなく、婚姻のような法律上の効果は生じません。

一方、二人で交わすパートナーシップ契約は自治体の制度とは別のものです。契約の内容によっては、二人の間に権利や義務が生じる場合があります。この記事では、この違いを最初に確認したうえで、契約を結ぶ理由と決められることを整理します。

情報確認:2026年9月

制度と契約は別のもの

自治体のパートナーシップ制度は、二人から関係の宣誓・届出があったことを自治体が受け止め、受理証明書などを交付する仕組みです。宣誓そのものに法律上の効果はなく、婚姻によって生じる権利や義務が一括して生じるものではありません。

この記事でいう「パートナーシップ契約」は、二人の関係や共同生活について、互いに何を約束するかを決める合意契約です。自治体の制度とは別であり、内容によっては二人の間に権利や義務が生じる場合があります。

合意した契約を公正証書にすると、公証人が公文書として作成するため、合意した内容を証明しやすくなります。ただし、公正証書を作っても法律婚と同じ立場にはならず、病院や金融機関などの第三者がすべての内容に従うわけでもありません。

自治体の制度そのものに、法律上の効果はありません。 制度に法律上の効果はない

パートナーシップ制度、二人の合意契約、公正証書の役割
もの誰が進めるか主な役割・効力
自治体の制度誰が進めるか二人が宣誓・届出し、自治体が受理証明書などを交付主な役割・効力宣誓そのものに法律上の効果はない
二人の合意契約誰が進めるか二人で内容を決める主な役割・効力内容により二人の間に権利・義務が生じる場合がある
公正証書誰が進めるか合意をもとに公証人が作成主な役割・効力公文書として強い証拠力を持つ

※「自治体の制度に法律上の効果がない」ことと、「二人で結んだ契約が一切の効力を持たない」ことは同じではありません。東京都の宣誓制度では契約書の作成は要件ではありませんが、渋谷区の証明制度では公正証書による合意契約などが使われます。

法的効力がないのに、なぜ宣誓?

宣誓する目的は、法律上の身分を変えることではありません。自治体が二人から届出を受けたことを証明し、二人の関係を外部へ伝えやすくすることで、生活上の困りごとを減らすためです。

関係を説明しやすくする

役立つ場面病院、勤務先、不動産会社などへ関係を伝えるとき

覚えておくこと説明の負担を減らす対応は相手先ごとに異なる

サービスにつなげる

役立つ場面面会、福利厚生、家族割引、保険、住まいなど

覚えておくこと生活上の選択肢自動適用ではなく、各機関が判断

行政に関係を受け止めてもらう

役立つ場面二人から届出があったことを受理証明書として残す

覚えておくこと公的な受理記録法律上の配偶者になる制度ではない

なぜ結ぶ?期待を二人の合意に変える

契約を結ぶ理由は、婚姻の代わりになる書類を一枚作るためではありません。二人が相手に期待することを言葉にし、何を互いの約束にするかをそろえるためです。

関係を明確にする

契約で整理すること互いを人生のパートナーと考える

確認する問い関係・意思二人は何を約束するのか

支え方を決める

契約で整理すること暮らしや病気のときに、どう協力するか

確認する問い協力・役割相手に何を頼みたいか

お金を明確にする

契約で整理すること生活費、財産、共同購入品など

確認する問い負担・所有誰が何を負担し、持つのか

終わりに備える

契約で整理すること関係を終える場合の連絡や清算

確認する問い終了・清算何をどう分けるのか

合意を記録に残す

契約で整理すること二人が同じ内容を後から確認できる形にする

確認する問い書面・保管方法どの形で残したいか

制度の要件に使う

契約で整理すること公正証書を必要とする自治体制度を利用する

確認する問い必要書類利用する自治体へ確認する

契約で決められること

パートナーシップ契約で話し合える内容を、基本となる合意、病気・将来、財産・住まい・費用、終了・清算の四つに分けて整理します。

契約の中心関係・協力・費用の3つ

公的資料の具体例として渋谷区の合意契約モデルを見ると、土台は「二人の関係」「共同生活での協力」「生活に必要な費用」の三つです。借入れや生活費だけをまとめる契約ではありません。

借入れや生活費は、契約で決められる一部です。 生活費は契約の一部

二人の関係

確認すること互いを人生のパートナーと認めること

決められること関係・意思どのような約束を結ぶか

共同生活での協力

確認すること暮らしを共にし、互いに支えること

決められること役割・支え方日常や病気のときにどう協力するか

生活に必要な費用

確認すること家賃、光熱費、食費などを負担すること

決められること対象・負担方法何を、どの割合で負担するか

※渋谷区の内容は、自治体制度に用いる合意契約の一例です。この三つに加え、医療、財産、住まい、契約の終了などを二人の目的に応じて決められます。すべてのカップルが同じ項目を入れる必要はありません。

病気・将来希望と手続きを分ける

病気や入院の場面では、「パートナーに連絡してほしい」「説明を一緒に聞いてほしい」「手続きを頼みたい」といった希望を合意に書けます。ただし、希望を書いた契約と、実際に代理するための仕組みは同じではありません。

病気や判断能力の低下に備えて合意契約に書くことと別に必要な手続き
備えたい場面合意に書けること別に確認すること
病気・入院合意に書けること連絡、付添い、説明を受ける希望別に確認すること医療機関の対応・必要書類
手続きの委任合意に書けること何を相手に頼みたいか別に確認すること委任状や利用先の指定書式
判断能力の低下合意に書けること相手に支えてほしいという意思別に確認すること任意後見契約などの別の備え
財産の管理合意に書けること希望する管理や支払いの方針別に確認すること代理できる範囲と手続き

財産・住まい・費用暮らしの具体策を決める

生活費や住まいは、パートナーシップ契約の全部ではなく、共同生活を続けるための具体策です。二人の関係と支え方を確認したうえで、曖昧にしたくないお金や持ち物を決めます。

それぞれの財産

合意で決めること同居前から持つ財産や、個人で管理する物

具体例個人の物を区別預貯金・家具・車など

共同の財産

合意で決めること二人で買う物や、共同生活中に得る物

具体例持ち主・割合購入費と所有を分けて考える

生活費

合意で決めること家賃、光熱費、食費、日用品など

具体例範囲・負担方法定額・割合・費目別など

高額な支出

合意で決めること家電、修理、旅行、医療費など

具体例事前に相談する基準金額・連絡・精算方法

住まい

合意で決めること住宅費、更新、修繕、退去する場合

具体例費用・希望賃貸やローンの手続きは別に確認

ペット・家財

合意で決めること世話、費用、引取り、共同購入品

具体例担当・引渡し記録や登録の変更も確認

※二人で負担や希望を決めても、賃貸借契約、住宅ローン、登記、各種サービスの名義が自動で変わるわけではありません。

終了・清算終わらせ方を決める

関係を続ける約束だけでなく、契約をどう終えるかも決められます。気持ちの区切りと、お金や住まいの清算は同じ日に終わるとは限らないため、連絡から清算までを分けて書きます。

合意による終了

合意で決めること二人で関係や契約を終える場合

具体的にすること終了日・確認方法書面で残すかを決める

一方からの連絡

合意で決めること一方が終了を申し出る場合

具体的にすること通知方法・予告期間いつ相手へ伝えるか

費用・財産

合意で決めること未払金、立替金、共同の財産

具体的にすること基準日・清算方法金額と支払期限を決める

住まい・ペット

合意で決めること退去、鍵、家財、ペットの引取り

具体的にすること引渡し・希望日外部手続きは相手先へ確認

決めていないこと

合意で決めること契約にない事項や解釈が分かれる場合

具体的にすること話し合う方法連絡手段や相談先を決める

※自治体の制度を利用している場合は、契約の終了とは別に、制度で定められた解消・返還などの手続きを確認します。

契約だけではできないこと

パートナーシップ契約は、二人の合意を決めるためのものです。自治体の証明、判断能力が低下した後の代理、死亡後の財産、病院や金融機関の手続きまで、一つの契約ですべてが完了するわけではありません。

関係を外へ示す

別に使う仕組み自治体の宣誓・証明制度

最初の確認先対象要件・届出利用する自治体

将来の代理を頼む

別に使う仕組み任意後見契約などの備え

最初の確認先任せる人・事務の範囲公証役場などの公式案内

死亡後に財産を残す

別に使う仕組み遺言による指定

最初の確認先残す財産・相手遺言の公式案内

病院で対応してもらう

別に使う仕組み医療機関の運用や指定書式

最初の確認先面会・説明・手続き利用する医療機関

名義や契約を変える

別に使う仕組み賃貸、融資、登記などの手続き

最初の確認先変更条件・必要書類管理会社・金融機関など

宣誓で法律婚にはならない

自治体のパートナーシップ宣誓・受理証明書そのものに、婚姻のような法的効力はありません。それでも宣誓するのは、二人の関係を外部へ示しやすくし、生活上の困りごとを減らすためです。一方、二人で交わす契約は、内容によって二人の間に権利や義務が生じる場合があります。契約では、生活費だけでなく、共同生活での協力、病気のときの支え方、財産、契約の終了などを決められます。ただし、法律上の配偶者になること、将来の代理、死亡後の財産、外部の名義変更は、それぞれ別の制度や手続きです。

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